降水が湿潤面となって地表面から下降するとき, 浸透経路となる不飽和帯の間隙空気が圧縮され, これによって, 直接, 浸透水が地すべり面に到達しなくても間隙水圧が上昇する地質構造がある。これによって発生する空気間隙水圧は, 湿潤面が持つ水頭の17~83%になる。
一方, 地すべり面に先行間隙水圧が作用している時点で, 湿潤面が水頭を持って下降すると, 先行間隙水圧と空気間隙水圧との和は, 水頭にほぼ等しくなる。
このように, 湿潤面下降の過程においては, 地すべり面付近の地下水位とは別形式の間隙水圧が作用することがあり, これが特別な降雨強度パターンと関係があることが判明した。