地すべり
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鹿児島8月6日災害における土砂災害調査報告
北原 一平河村 和夫佐口 治
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1994 年 31 巻 1 号 p. 56-63_1

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抄録
平成5年8月6日に鹿児島市を中心に発生した土砂災害について, 写真判読を中心に災害特性調査を実施し, 報告した。調査内容は, 降雨特性調査, 地形・地質特性調査, および写真判読による崩壊発生特性調査である。
今回の災害は長雨後の集中豪雨が原因であったが, 日雨量の確率規模は20年~30年である。崩壊の発生箇所は地形・地質によって, シラス台地面浅谷の谷壁の斜面崩壊, シラス台地周辺部の斜面崩壊および山地の斜面崩壊に区分される。最も人的被害が大きかったのは山地に区分される竜ケ水急傾斜地である。シラス台地の土砂災害がほとんど表層崩壊であるのに対し, 山地部の災害の特徴は斜面崩壊と土石流が混在していることである。写真判読によると, この地区における土石流に対し, 治山・砂防施設の効果が明らかに発揮されているところが多く確認される。しかし, 地形的な制約からハード対策では限界があり, 総合的なソフト対策の検討も必要であるものと考えられる。
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© 社団法人日本地すべり学会
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