中国では, 揚子江の三峽地域に世界でも最大級の河川型ダムを建設中である。三峽地域は有数の地すべり地帯で, その発生と分布は地質構造や岩質に支配されている。ダム流域の地すべりの85%はすべリゾーンが泥岩及び泥灰岩の砕屑物質と砂質粘土からなる再活動型のすべりである。貯水開始後には, 水面上昇に伴う有効応力の低下によって, 再活動型地すべりのほとんどが再発することが予想される。これら地すべりの発生機構の解明には, 泥岩の強度低下の概念を導入することが有効である。安定解析並びに機構解明にあたっての問題点を指摘した。