抄録
1997年5月11日に発生した澄川地すべり・土砂災害に関する論文, 各種資料, ビデオ映像や写真などの映像記録, 目撃者及び災害復旧担当者に対する聞き取り調査結果を基に時系列解析を行い, 現地調査結果と併せて澄川地すべりと水蒸気爆発及び土砂流出の関係を検討した。水蒸気爆発は澄川温泉において少なくとも3回, 赤川温泉 (澄川温泉の1.1km下流側) においてもほぼ同時刻に少なくとも2回発生した。澄川温泉の1回目の水蒸気爆発により小規模な岩屑なだれもしくは土砂流が発生し赤川橋まで到達したこと, また水蒸気爆発の衝撃波の影響により澄川地すべりの滑動が加速され主滑落崖が形成されたこと, 澄川温泉の2回目の水蒸気爆発の影響により地すべり域から押し出された土砂が大規模な岩屑なだれとして澄川及び赤川を流下したことなどが明らかになった。