2002 年 39 巻 3 号 p. 319-325
福島県西会津町の滝坂地すべり地において採取した水試料の酸素同位体, トリチウム分析と, 岩石および水のストロンチウム同位体分析を行い, 排水施設の機能や設計に関わる地下水の全体的な分布と移動について調査した。地下水トリチウム年代に有意な差は認められない。ストロンチウム同位体分析結果によれば, 地すべり地北部の地下水の陽イオンはトンネル排水に比べ花歯岩を起源とする性質がつよい。酸素同位体分析結果によれば, 沼田地区の排水施設は阿賀川河川水とも, 地すべり地内の平均とも, 別の水をとらえている。地すべり地北部の地下水の動きは地すべり地外の花崗岩地帯を中心とすると考えられるため, これについてさらに調査と対策が必要である。