日本地すべり学会誌
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カルデラ火山の解体過程における地すべりの発生
東北地方におけるその全体像
大八木 規夫
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2003 年 40 巻 1 号 p. 10-21

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抄録

1997年に発生した澄川地すべりの研究を契機として, 東北地方に見い出される大規模な地すべり地形はカルデラ火山に関係しているものが多いことが明らかになってきた。 東北地方には後期中新世から後期更新世にかけて形成されたカルデラが80箇所ほど存在している。 これらカルデラと大規模地すべり地形との関係をカルデラ火山の解体期における削剥過程に沿って次の3亜期に区分して概観した。 1) 後カルデラ火山体および外来火山岩削剥亜期では, 中小規模の地すべりや火山体の山頂部での変形がみられる。 2) 湖成堆積物削剥亜期では, 湖成堆積物の上位に残存している火山体には大規模な地すべり地形が認められ, また, グラーベンと放射状地すべりからなる変形がある。 湖成堆積物の地表面では中小規模の地すべりが多発して不規則な地形を示す。 3) カルデラ形成期の火砕流堆積物削剥亜期では, 崩壊や土石流の発生が著しく, 土砂災害としても注目される。 なお, 湖成堆積物は, その塑性変形をしやすい物性, 上位の後カルデラ期火山岩類とによるキャップロック構造の形成, 差別的侵食作用, 熱水作用の側方への拡大など, 地すべり形成に対して多面的に重要な素因となっている。

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