日本地すべり学会誌
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人為的バレーバルジング
野崎 保田川 義弘
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2004 年 40 巻 6 号 p. 463-471

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抄録

我が国においては最近までバレーバルジングに関する報告は見られなかったが, 筆者の一人である野崎によって初めての事例とその発生機構に関する研究報告がなされている。英国では主に氷河期における周氷河作用の一現象であるとする説が有力である。しかし, 英国以外では応力解放に伴う河床部のリバウンド現象あるいはそれに続く斜面クリープによる河床部の座屈現象であるとする説が有力であり, 野崎も基本的に後者の説にしたがっている。また, これまでこのような現象は地質学的な時間単位で進行するものであり, 人為的な掘削などでは感知し得る程の変位は生じないものと考えられてきた。しかし, 今回上信越自動車道の工事において, 尾根地形を横断する大規模な開削工事が実施された際に, 切土の進行と共に開削部に向かうバルジング現象が発生した。筆者らは事前にこうした現象の発生を予測し, 詳細な地質調査および諸計測を行った結果, 人為的なバレーバルジング現象が発生したことを明らかにした。

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