抄録
滑動中の地すべりにおいて, 地すべり変位速度は減速域では指数関数的低減傾向を示すことがある。この原因には, 降雨に由来する地すべり不安定化要因の指数関数的低減が挙げられる。この評価手法として, 地すべり変位速度とタンクモデル貯留高の相関関係も指摘されている。このことは, 降水量から直ちに地すべり安定度の指標が得られることを意味する。本論文では両者の比率から1次, 2次, 3次クリープの識別事例の報告を行う。一方, 降雨による要因とは無関係に1次クリープ的現象が生じている場合が有り, 滑動中の地すべり地における「すべり面強度」の経時的増加の可能性を示唆する。