抄録
新第三紀層泥岩地帯で発生した再滑動型地すべりである新潟県中栗地すべりにおけるボーリングコアの化学分析とX線回折を実施し, 地すべり移動層及び基岩の化学的風化状況を明らかにした。
移動層の化学的風化の程度は, 地表面近くが一番高く, 深度が増すにしたがって低くなっている。酸化層では, 黄鉄鉱の酸化により硫酸が生成され, 土塊が酸性化しており, その酸性化は下位層まで及んでいる。また, スメクタイトの量は, 推定すべり面付近でその周辺より多くなっている。鉱物は酸により移動層内で変質し, スメクタイト化していることが推定される。