日本地すべり学会誌
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地すべり地の堆積物の諸相とシーケンス
山形県朝日町八ツ沼地すべりを例として
山野井 徹
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2005 年 42 巻 1 号 p. 17-25

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抄録
道路開設によって地すべり地の頭部に良好な露頭が現れ, この露頭の観察を行った。この区域での堆積物の地質学的記載を行い, 成因的に3つの相に区分した。それらの相は地すべり侵食の1サイクルとしての堆積シーケンスである。すなわち,(1) 斜面にマスムーブメントとしての地すべり事件が発生する (「事件相」の形成) 。この際, 凹凸のある低地ができて堆積の場が生ずる。 (2) 低地の凹凸は, そこに流入する水の作用が主体となって, 侵食と埋め立てが速やかに進行して平滑化が進む (「修復相」の形成) 。 (3) やがて侵食物質の供給が弱まると風成層の堆積が卓越し, ゆっくりとした堆積により表層が覆われていく (「被覆相」の形成) 。
地すべり地のシーケンスや多重シーケンスを解析することにより地すべり地の詳細な履歴を知ることができる。
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© 社団法人日本地すべり学会
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