日本地すべり学会誌
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金沢市山科町における長雨を誘因とする流動性地すべりの特徴と運動機構
田中 康博汪 発武中村 佳代松本 樹典
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2005 年 42 巻 2 号 p. 136-145

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抄録
2002年11月8日に金沢市山科町で長雨を誘因とする流動性地すべりが発生した。発生直後の地すべり土塊は完全に飽和されており.竹林の分布している範囲では地すべり土塊が厚く堆積していた。地すべり地は第三紀泥岩層 (犀川層) からなり.現地調査より泥岩は下位から新鮮な泥岩, 亀裂の発達した風化泥岩, 粘土化した強風化泥岩の三層に分類され, 風化泥岩と新鮮部との境界で地すべりが発生したことがわかった。また, 運動機構を明らかにするために行った運動シミュレーションより, すべり面の定常状態でのせん断抵抗が強風化泥岩層では10kPa, 竹林部では50kPa (竹林の土塊のせん断抵抗値ではなく, 地すべり土塊中に含まれる竹の地すべり運動による衝突が地すべりを減速させる効果を表現した値) であることがわかり, 竹林が分布している範囲に, 地すべり運動を減速させる何らかの要因があった。山科地すべりの流動化した原因の一つとして, 長雨によって飽和された低透水性の強風化泥岩が, 地すべり土塊の衝撃載荷により, 非排水せん断され, そのせん断抵抗が低くなり流動化したと考えられる。
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© 社団法人日本地すべり学会
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