抄録
52歳男性,危険因子は,糖尿病,脂質異常症,慢性腎不全であった.左第3趾虚血性潰瘍に対し前医にて経過観察されていたが,潰瘍部MRSA感染を合併したため足趾切断が必要と考えられた.今回術前の血行再建術目的で当院転院となった.血液検査所見ではCRP 26.9 mg/dlと高値であり,皮膚灌流圧測定では足背領域18 mmHg,足底領域16 mmHgであった.下肢動脈造影では左前脛骨動脈100%閉塞,左腓骨動脈90%狭窄,左後脛骨動脈99%狭窄との所見が得られた.前脛骨動脈,腓骨動脈病変に対し2.5 mmバルーンで,また後脛骨動脈病変に対し2.0 mm バルーンで拡張を行い良好な開大を得た.血管内治療同日に再度転院の上,緊急デブリードマンを行った.その後,適宜小切断と植皮術を行い,左下肢救済に成功し血管内治療より12カ月後患者は自力歩行可能となった.感染を合併した難治性潰瘍に対して速やかに,かつ同日にカテーテル治療と外科的デブリードマンを行うことの有用性が示唆された.