日本下肢救済・足病学会誌
Online ISSN : 2187-1957
Print ISSN : 1883-857X
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症例報告
重症感染を合併した潰瘍有する重症虚血肢に対し血管内治療を行い,終了後直ちにデブリードマンを施行し救肢し得た1例
白記 達也飯田 修石原 隆行岡本 慎土肥 智晴佐藤 圭南都 清範飯田 卓馬上松 正朗
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2013 年 5 巻 2 号 p. 91-94

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抄録
52歳男性,危険因子は,糖尿病,脂質異常症,慢性腎不全であった.左第3趾虚血性潰瘍に対し前医にて経過観察されていたが,潰瘍部MRSA感染を合併したため足趾切断が必要と考えられた.今回術前の血行再建術目的で当院転院となった.血液検査所見ではCRP 26.9 mg/dlと高値であり,皮膚灌流圧測定では足背領域18 mmHg,足底領域16 mmHgであった.下肢動脈造影では左前脛骨動脈100%閉塞,左腓骨動脈90%狭窄,左後脛骨動脈99%狭窄との所見が得られた.前脛骨動脈,腓骨動脈病変に対し2.5 mmバルーンで,また後脛骨動脈病変に対し2.0 mm バルーンで拡張を行い良好な開大を得た.血管内治療同日に再度転院の上,緊急デブリードマンを行った.その後,適宜小切断と植皮術を行い,左下肢救済に成功し血管内治療より12カ月後患者は自力歩行可能となった.感染を合併した難治性潰瘍に対して速やかに,かつ同日にカテーテル治療と外科的デブリードマンを行うことの有用性が示唆された.
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© 2013 日本下肢救済・足病学会
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