日本下肢救済・足病学会誌
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特集:救肢のための非血行再建療法 -血行再建不可能症例・血行再建後遷延する創傷治癒遅延に対する追加治療・今後期待される治療-
閉塞性動脈硬化症に対する和温療法
鄭 忠和
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2014 年 6 巻 3 号 p. 137-145

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抄録
「和温療法」は全身を気持ちよく温める「和む温もり」療法(60°C・15 分間の遠赤外線乾式サウナ浴と出浴後30 分間の安静保温)で,優しい全人的治療法である.和温療法を10~15 週間施行すると(1 日1 回,週5 回),Fontaine 分類III~IV 度の閉塞性動脈硬化症(ASO)に著明な効果を発揮し,血行再建術を施行しても治癒しない難治性潰瘍や疼痛が劇的に改善する例も少なくない.6 分間歩行距離や上腕/ 足関節血圧比(ABI)は有意に改善する.和温療法は全身の血管内皮機能,自律神経機能,神経体液性因子を是正し,微小血管・毛細血管の新生作用を促進し,末梢組織への血液循環を促進する.効果発現の機序には,Hsp90 およびeNOS の産生の増強が関与し,虚血肢の血管新生作用を促進し,虚血領域への血流を改善する.また,和温療法は全身の動脈・静脈を拡張し心拍出量を増加させるので,血流増加による「ずり応力」もNO 産生の増強に関与する.和温療法はASO に対する今後期待される革新的な治療法である.
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© 2014 日本下肢救済・足病学会
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