抄録
【目的】:重症下肢虚血(CLI)患者の治療には複数科による集学的アプローチが必要である.当院では下肢救済を目的としてチーム診療を行っており,特にCLI患者の治療経験につき報告する.【方法】フットケア外来を受診した下肢慢性創傷患者134名のうち,末梢動脈疾患(PAD)を疑われ創傷を伴うCLI患者68例について,糖尿病合併の有無,血行再建の有無,大切断回避率,創治癒率を評価した.【結果】糖尿病は57例(84%)で合併していた.31例に血行再建を行い(血行再建群),23例は内服治療のみ(内服治療群),14例は血行再建不可と診断された(再建不可群).大切断回避率は血行再建群で27例(87%)であり,再建不可群の6例(42%)より有意に高かった.創治癒率も血行再建群では26例(84%)であり,再建不可群の3例(21%)より有意に高かった.【結論】CLI患者において血流評価,血行再建ならびに形成外科的な処置は必須であり,複数の診療科がチーム診療として連携を図ることで高い大切断回避率が得られたと考えられる.