日本下肢救済・足病学会誌
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症例
膝下切断後の大腿-膝窩動脈バイパスグラフトの急性閉塞により治療に難渋した1例
坂元 博安藤 弘
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2017 年 9 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
症例は60代,男性.2013年3月,高度石灰化を伴う右浅大腿動脈の完全閉塞と総大腿動脈の高度狭窄に対して内膜剥離術と大腿-膝窩動脈(F-P)バイパス術を行っている.2013年5月に両下肢の重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)で入院し,血行再建を繰り返し行ったが改善乏しく7月に両下肢の膝下切断となった.術後創部は順調に治癒しリハビリを行っていたが2014年1月より右下肢の冷感,安静時痛が出現し,エコー上F-Pバイパスグラフトの閉塞を認めた.急性下肢虚血(acute limb ischemia:ALI)と診断し,血管内治療(endovascular therapy:EVT)や血栓溶解療法を施行したが順行性のflowの改善は乏しかった.翌日に外科的に血栓除去とprofundaplastyを行うことでグラフトと大腿深動脈を開存させたが,その翌日には再閉塞した.このままでは股離断の可能性が高いため再度EVTを行い,大腿深動脈にステントを挿入し血行再建に成功した.その後,膝上切断したが創部は問題なく治癒し,歩行器使用しての自宅退院となった.
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© 2017 日本下肢救済・足病学会
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