2005 年 13 巻 1-2 号 p. 83-94
近年,業績評価システムの「定量化」や「客観化」などを目指して,バランス・スコアカード,活動基準原価計算,EVA,成果連動報酬制度などを導入する日本企業が増えている.しかし,いたずらに「定量化」や「客観化」を重視するだけの業績評価システム改革は,日本企業の競争力を低下させる危険性がある.なぜなら,日本企業においては,評価者の主観的な判断に基づいて業績評価を行う主観的業績評価が,方針管理や人事評価において一定の役割を果たしてきたからである.本論文では,先行研究に基づきながら,主観的業績評価の概念や特徴を整理した上で,日本企業における主観的業績評価の役割や特質について考察を行う.