佐賀市の薬店に生まれた江崎利一氏は,世の中の役に立つことを願い,江崎グリコを創業した.栄養菓子のコンセプトを考え,製造や販売,宣伝に知恵を絞りながら,お客さまの健康に寄与する商品づくりに邁進した.現在江崎グリコは,アジア,アメリカ,ヨーロッパへとマーケットを広げ,売上高は3,300億円に上る.創業当初の理念を引き継ぎ,存在意義(パーパス)「すこやかな毎日,ゆたかな人生」を掲げて,お客さまのゆたかな人生を願う企業姿勢を説く.
本稿は日本管理会計学会2025年度年次全国大会統一論題の「定量的な分析技術が管理会計研究にもたらすもの―展望と示唆―」に関する論壇論文である.統一論題の趣旨を説明し,3名の統一論題論者の論文を概観する.そして,「定量的」な方法に共通する問題について議論する.
本稿は管理会計研究における質問票調査の役割を再検討し,限界と可能性を整理する.近年エビデンスレベルの低さの指摘が強まっている.そうした中でABC研究を例に,質問票調査の測定対象や成果変数を段階的に拡張したプロセスを示した.また国内研究は既存概念の援用にやや偏重している点や,その援用の問題を指摘した.これらを踏まえ質問票調査が果たし得る貢献として,新規概念・尺度の構築,既存概念の新たな成果変数・コンテクストの検証,新たなデータセットによる外的妥当性の確認を提示し,エビデンスレベルの優先順位と段階的な厳格化の必要性を論じる.これらを通じて質問票調査は依然として管理会計研究の重要な方法論たり得ることを示す.
本稿は,管理会計分野における実験研究を方法論の観点から整理し,近年の技術的進展がもたらす可能性と課題を検討する.実験手法の基礎とオンライン実験の特徴を示したうえで,クラウドソーシングによる関心集団へのアクセス拡大,生成AI(とりわけ大規模言語モデル)を活用した新たな実験手法の可能性,追試や事前登録による再現性確保の重要性を論じる.さらに,実験タスク設計時の内的妥当性と実務接続をめぐる問題やオンライン実験のデータ品質に関する論点を整理し,国内での利用拡大の方向性を提示する.
アーカイバルデータをもちいた実証分析は,現代の管理会計研究において主要な方法論の1つとなっている.しかし,アーカイバルデータに固有の特徴や限界について,これまで十分に議論されてこなかった.本稿では,アーカイバルデータの特徴である大規模サンプルが,仮説検証の結果にもたらす影響に着目し,そこから生じる問題点を指摘する.具体的には,有意差の検出が容易になることで,実質的な意味を欠く結果が「有意」として報告される危険性を取り上げる.そのうえで,アーカイバルデータを有益に活用するための方針として,①厳密な理論にもとづく仮説を検証するメカニズムの解明,②データに明瞭な差や傾向が確認できることを報告するマクロの描写,という2つの方向性を提案する.
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