管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
論文
報告利益と課税所得の関係が利益調整行動に与える影響
山田 哲弘
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 20 巻 2 号 p. 19-41

詳細
抄録

本稿は,日本の個別財務諸表データを用いて,課税所得計算の対象となる項目と課税所得計算の対象とはならない項目による企業の利益調整行動について分析している.課税計算対象項目と課税計算対象外項目を用いた利益調整行動の違いや,その関係について分析するために,本稿では裁量的発生高を課税所得計算との関連から裁量的課税計算対象発生高(DBTA)と裁量的課税計算対象外発生高(DBOA)に分類し検証した.分析の結果,税コストを最小化するためにDBTAが用いられていること,報告利益のベンチマークを達成するためにDBTAとDBOAの両方が用いられていることが析出された.さらにDBTAとDBOAの関係について,増益型の利益調整が疑われる企業では,DBTAの増分が小さな企業ほどDBOAの増分を大きくする傾向が示された.確定決算主義により,日本では報告利益と課税所得の結びつきが強いと考えられているが,これらの結果は,企業が課税計算対象項目と課税計算対象外項目とを区別し,それらを組み合わせた利益調整を行っていることを示唆するものである.

著者関連情報
© 2012 日本管理会計学会
前の記事 次の記事
feedback
Top