管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
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論文
原価企画における目標販売価格の決定方法
金澤 雄一郎門田 安弘
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1995 年 3 巻 2 号 p. 3-25

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抄録

競合する製品と比べて品質面で大きな差別化がはかれない市場,および成熟・飽和市場では,しばしば競合品の価格に追随する形で,自社の類似製品の販売価格が決定される.この価格決定方式は市価基準方式とも呼ばれる.このような市場で新製品を企画・開発する企業は,市価基準方式によって目標販売価格が決定されるという前提にたって,これに見合った目標原価水準を実現してゆく必要がある.市価基準方式では,競合する製品の価格は製品の機能水準によって決定される.製品の主要機能水準は代表的設計特性値に依存する.複数の代表的設計特性値がある場合の価格決定方法として,売価を各設計特性値で単回帰した式を専門家が加重する方法,主成分分析法,設計特性値の重み付け分析法,調整計画法等が提案されている,本稿では,グラフを多用した対話型の「重回帰分析法」の適用を提案する.この方法では「調整済み散布図」・「C_pプロット」・「正規分位点・分位点プロット」・「残差プロット」等のグラフを順次利用して,望ましい重回帰価格決定モデルを作成する.この方法の優れている点は,少数の数値のみに依存せず,意思決定者が画面上で情報量の豊富なグラフを視覚的に検討しながら,望ましい重回帰モデルを平明に構築してゆける対話型の意思決定システムになっている点である.本稿では成熟・飽和市場である日本の乗用車市場に例をとり,この重回帰分析法をいかに適用するかを詳しく説明する.

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© 1995 日本管理会計学会
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