1985 年 10 巻 3 号 p. 115-121
各種哺乳動物毛における毛髄の形態学的構造を走査型電子顕微鏡を用いて観察し, 毛髄のタイプ分けを試みた.また, 得られた結果から, 毛髄のタイプと哺乳類の分類との関係について若干の考察を行なった.本研究には, げっ歯目5科13種, ウサギ目2科3種, 食肉目2科10種, 偶蹄目2科7種, 奇蹄目2科3種の毛を供試した.走査型電顕の使用によって, 従来光顕レベルで3タイプとされていた刺毛の毛髄を8タイプに分類でき, より明確な細分類が可能となった。また, 同じ科に属する動物の刺毛は同じタイプの毛髄を示し, 刺毛毛髄の形態は科のレベルで分類学上の位置づけとほぼ一致した.