人体科学
Online ISSN : 2424-2314
Print ISSN : 0918-2489
原著
「プライベート出産」体験者の医療との接点
市川 きみえ
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2017 年 26 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
本研究は、意図的・計画的に医療者の立会わない環境を選択して行う「プライベート出産」体験者30名にインタビューを行い、妊婦健診の受診状況など、出産までの医療との接点と出産経過の実態を明らかにした。彼女らは、必要な医療を取捨選択しながら妊婦健診を受診しており、さらに、医療者に「プライベート出産」の意向を伝えた者は、受けた対応がその後の受診状況に影響していた。インタビュー協力者による「プライベート出産」総数55件の内、正常出産50件、死産0件、母体死亡0件、出産の異常5件であった。この異常の内の1件は、健診時に医師との間で「プライベート出産」の緊急時の対応に関する説明と同意がなされており、異常発生時に適切な医療処置を受けることができたことが、結果的に安全な出産に繋がっていた。女性の産み方の選択権と安全な出産を保障するために、産む側と医療者間のコミュニケーションによる相互理解の重要性が明らかとなった。
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