抄録
企業にとって長期的な戦略を考えることは重要であるが,現時点でどの製品・どの市場から利益がもたらされているのかを把握することは,多角化が進めば進むほど困難になってくる。現状の把握に時間がかかり,戦略を考えるのに時間が取れないということになれば,本末転倒である。多角化の進展に伴う戦略立案の困難さを乗り越えるために,マツダ(株)では経営の可視化を進め,独自の3軸管理を推進している。3軸管理によって,現状のビジネス構造を把握することが容易になり,さらにそれを元に将来に対して複数のシナリオを描いてシミュレーション評価することによって,戦略をロバストにしていくことができる。