日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
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  • 片山 富弘, 水島 多美也, 西 宏樹
    2025 年25 巻 p. 1-5
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    買物弱者に対する買物支援型移動販売事業の継続性に関する研究である。この分野の先行研究とともに,3つの事例分析を通じて,マーケティングと損益分岐点分析の視点からの事業の継続性に関する提案を試みている。

  • 上原 義子, 劉 亜氷, 高橋 昭夫
    2025 年25 巻 p. 6-12
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    サステナビリティは近年の重要な関心事であるとともに,包括的な概念である。デスティネーション・マーケティングにおいても重要なキーワードとされている。だが,その具体的な視点は論者によってさまざまで混乱している。本研究では,マーケティングの立場から,サステナビリティおよび類似概念を整理した。それにより,デスティネーション・マーケティングが実務レベルで目指すべきことは強いブランド構築で,それには競争優位性の確立と持続化が必要だが,実際にはその実行が容易ではないことを長崎県波佐見町の取り組みから考察した。

  • 石原 篤, 酒井 理
    2025 年25 巻 p. 13-19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    本研究は,伝統工業のコミュニティにおけるイノベーションの阻害要因と,現状を変えたくないという態度形成プロセスを探索的に明らかにすることを目的としている。和装産業組合と和酒産業組合を取り上げ,インタビュー調査を実施し,阻害要因を「資産の損失」「関係性の損失」「確実性の損失」の3つに分類した。これらの現象に対する心理的要因として「不安」の存在が推論された。変化に対する「不安」が「防衛」という態度,そして「変化しない」という行動に影響するプロセスを構造化した。さらに,具体的な解決に向かう施策について提案し,伝統工業コミュニティの今後を展望した。

  • 有馬 賢治
    2025 年25 巻 p. 20-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    20世紀初頭からのマーケティング研究を通史的に眺めた場合に,販売手段の組み合わせと,それらの管理方法に対する議論(所謂マーケティング・ミックス)は研究蓄積の非常に多い分野であることが確認できる。本論では,マーケティング・ミックスに関わる既存研究を概括したうえで,現代における意義と課題を整理した。そのうえで,マーケティング管理者によるマーケティング・ミックスの考え方を把握するために仮説を設定し,マーケティング・ミックスで使用する資源の配分方針に関する実態の調査・分析を実施した。さらに,階層型クラスタ分析により類型化を試みた結果,4手段ブレンド型,製品・価格ブレンド型,価格主導型,製品主導型,コミュニケーション主導型の5つの類型を得た。

  • 藤井 一郎, 阿部 守
    2025 年25 巻 p. 27-33
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    新たなマーケティング診断では顧客の維持に焦点を当て,そこに内在する積極性やダイナミズムを理解する必要がある。B to Bマーケティングの分野では顧客がどのような価値を知覚しているのかといった顧客価値についての研究があり,リレーションシップ・マーケティングの領域では,エンゲージメント概念が注目されてきている。顧客エンゲージメントについての先行研究は国内外とも数多くある。しかしながら,経営診断技法および先行研究の観点では,経営診断となる経営体の顧客にインタビューを行ったうえで顧客を起点とするB to Bマーケティング診断技法について調査・分析した研究は見られない。本研究では,経営体の顧客にインタビュー調査を行い得られた情報をもとに質的分析を行った内容を考察する。

  • 畠山 健太
    2025 年25 巻 p. 34-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    製造業が製品事業からサービス事業に移行するためには,顧客との接点であるセールス担当者の役割が重要となるが,セールス組織を製品志向からサービス志向に移行させることは容易ではない。また,日本企業に多い「営業活動」としてのセールス担当者と,欧米企業に多い「販売活動」としてのセールス担当者とでは役割が異なっている。本研究では,情報システム・サービス業界を対象に,顧客へのアンケートを通じて,サービス・セールス担当者の特性が,成約率にどのように影響するのか,「営業活動」と「販売活動」の違いにも注目しながら,そのメカニズムを明らかにする。

  • 伊藤 拓海, 横山 淳一
    2025 年25 巻 p. 41-47
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    本研究は,高蔵寺ニュータウンを対象に,到達圏分析と住民意識調査を組み合わせて食料品アクセス問題を明らかにした。分析の結果,地理的条件や店舗の立地,住民の移動手段等の物理的要因に加え,店舗の価格への満足度といった主観的要因が購買環境評価に影響を与えることが示された。また,高低差の大きい地域では徒歩移動が困難となり,自動車の有無が購買行動における主要な要因であることが確認された。これらの結果をふまえ,物理的アクセスの改善に加え,店舗機能の向上や地域特性を考慮した施策の必要性を提言した。本研究の成果は,購買環境改善や住民の生活満足度向上を目指した政策立案に貢献する基盤的知見を提供するものである。

  • 猿渡 俊輔, 横山 淳一
    2025 年25 巻 p. 48-54
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    近年,生産年齢人口の減少に伴う人材の価値増加やSDGs, ESG投資への世界的関心の高まりから従業員の健康はコストではなく,将来への投資との考えに変化している。そのなかで健康経営という経営手法が注目されている。しかし現状,中小企業では認知度が低く,じゅうぶんに浸透していない。そこで本研究では中小企業で健康経営が浸透しない要因を,経営課題と健康施策が必ずしも結びついていない点にあると考え,アンケート調査をもとに実証することを試みた。結果,健康経営を実施している中小企業は,健康経営を意識的に実施していない中小企業と比較して,健康づくり施策を当該企業の経営課題と結びつけている可能性を示した。本研究結果により,健康経営を実施していない中小企業においては,健康経営と経営課題が必ずしも結びついておらず,経営戦略として健康経営を実施する必要性が認識されていないと推測された。

  • 小久保 奈海, 横山 淳一
    2025 年25 巻 p. 55-61
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    地域社会において,高齢者の孤立死の増加や自然災害など家庭単位での解決が困難な課題に対して,地域コミュニティによる対応が期待されている。しかし,地域コミュニティの中心的な存在である自治会は役員の担い手不足や加入率の低下などの課題を抱えており,存続が難しくなっている。そこで本研究は都市部に限らずマンションが増加している現在,地域コミュニティの1つとしてマンションにおける自治会機能の現状ならびにマンションと共存している地域コミュニティも含めて,持続可能な地域コミュニティモデルについて検討した。その結果,地域コミュニティの持続可能性を向上させるためには,住民同士の顔の見える関係性を構築するため,できるかぎり多くのマンション住民が自治会運営を経験できる軽度な活動から自治会機能を再構築することを提案した。

  • 福田 康典
    2025 年25 巻 p. 62-68
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/26
    ジャーナル フリー

    ブリコラージュとは,手もとにあるあり合わせの道具や材料を使って臨機応変に問題を解決していく思考様式を指している。本研究では,経営資源に制約のある企業の自走を促すような伴走支援型の経営診断が求められている点に着目し,このブリコラージュに関連する研究知見が,こうした経営診断の遂行にどのような貢献を果たしうるのかという点を探索的に考察している。考察の結果,ブリコラージュは経営診断の主な診断対象となる中小企業の問題解決思考との間に非常に高い適合性がみられ,診断対象の描写と理解という診断の基礎領域においてきわめて有益である点が確認された。また,経営診断の他の3つの領域,つまり前提領域(診断対象へのリスペクトの醸成),内容領域(資源制約下でのプロアクティブな診断の実現),方法領域(伴走支援における対話基盤の提供)においても有益な貢献が期待できることが示された。

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