抄録
本稿では生産拠点間の地理的へだたりが距離的コストを凌駕し,付加価値を創出しうる次世代型生産ネットワーク組織の診断枠組みを提案している。その上で経営学的手法とコンピュータサイエンスの手法を組み合わせた文理融合型の研究手法を用いて,経営資源の多様性から付加価値を創出する生産ネットワークのシミュレーションを試みている。これによって独自の経営資源をもつ主体同士が,地理的なへだたりを制約条件としない付加価値創出型ネットワークを生成しつつ,内部構造を複雑化し経営環境の複雑性に適応するとともに,組織の持続性を追求しうる可能性を明らかにしている。