抄録
製造業の中小企業は,主取引先企業の海外移転や脱系列化が進むなかで,生き残りや成長のため新規取引先の開拓が急務である。ウェブマーケティングは多額の費用を要せずに工夫次第で大きな効果が期待できるため,中小企業にとって有用な手法である。本研究では主に製造業の中小企業を対象にウェブマーケティングに必要なITケイパビリティとウェブマーケティング活動,そしてその経営効果の関係性を明らかにする。検証の結果,ITケイパビリティ,ウェブマーケティングの活動レベル,その経営効果の間には有意な相関関係が認められた。同時に,中小企業は人材不足などによりITケイパビリティの構築に大きな課題を抱えていることがわかった。