抄録
わが国では,労働者のメンタルヘルスに関して関心が高まる一方である。使用者側における予見義務が求められるようになってきているが,リスクコントロールは従業員側にも求められる。中小企業においては,産業医などの配置や相談可能な精神科医の配置に関しては不十分であるばかりか,従業員の法令などに関する知識不足も加わり,メンタルヘルスにおけるリスクコントロールには問題点が散見される。インターネットを介した簡便型の認知行動療法を使用することができれば,中小企業ごとの職種を含めたさまざまな差異にかかわらず,従業員が企業の管理を超えてメンタルヘルス対策として利用できることが期待される。しかし,その限界にも注意を払う必要がある。