抄録
地域振興などをねらいとして第三セクターによって運営される施設の多くが厳しい経営を余儀なくされている。地域振興に資する提言を大学に対して求めるニーズが高まるなか,第三セクターの経営診断を行うことで,大学が地域振興に積極的に関わることができる。本稿では,第三セクターで運営される水産商業施設に対して大学の研究室単位で経営診断を行い,その提言内容を実践した事例を通じて,大学による第三セクターの経営診断を契機に産学官の多様なアクター間の協働がもたらされること,学生の地域課題解決に対する想いが提言内容の実践を通じてソーシャル・キャピタルの形成という形で地域産業振興に一定の効果をもたらすことの可能性を指摘する。