音楽表現学
Online ISSN : 2435-1067
Print ISSN : 1348-9038
武満徹作品における雅楽の要素
《ランドスケープ》《地平線のドーリア》《秋庭歌一具》の共通性
宮川 渉
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 16 巻 p. 1-20

詳細
抄録

 武満徹の《秋庭歌一具》は雅楽の重要な作品として知られているが、この作品を書く上で下地となった作品が二 曲存在すると考えられる。それは《ランドスケープ》と《地平線のドーリア》である。本稿はこれらの三作品において、どのようなかたちで雅楽の要素が現れているかを検証することにより、これら三作品の共通性を明らかにすることを目的とする。そのためにこれらの作品における音組織と反復性の二点に焦点を当てて分析に取り組んだ。また《地平線のドーリア》には、 ジャズ・ミュージシャンのジョージ・ラッセルが提唱した理論であるリディアン・クロマティック・コンセプトからの強い影響もあると武満自身が語っており、武満は、この理論を用いてジャズよりも雅楽の響きに近いものを追求したと考えられる。 その点も合わせて検証した。

著者関連情報
© 2018 日本音楽表現学会
feedback
Top