2021 年 19 巻 p. 23-32
日本ではこれまで管楽器を開始する年齢について、ある程度身体の成長が必要であると考えられており、低年齢層を対象とした管楽器教育はほとんど行われていなかった。一方ヨーロッパ諸国、とりわけドイツでは20年近く前から、6歳前後の子供を対象とした管楽器早期教育システムが研究開発されている。本研究は、管楽器演奏という事象を解剖学・教育心理学・音楽生理学・音楽心理学など、多方面にわたる専門家の見地から分析し、訓練法を提案しているこのシステムから、日本の管楽器導入指導に活用できる新しいメソードの確立を目指すものである。
本稿では、このドイツのシステムの教本および付随教材の研究からその全貌を明らかにする。また、横隔膜と顔と口周りの筋肉の積極的な動作が要求される西洋言語の子音やウムラウトの発音に着目し、それらに重点をおいて行った独自の訓練法を提案、教育現場での指導実践の報告を行う。これらの内容は新しいアプローチとして、成人の演奏者にも管楽器演奏上の問題解決の糸口となりうるものである。