順天堂醫事雑誌
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原著
在宅医療ではどのように高齢者終末期の診断をしているのか
終末期の診断の不可能性と判断のもとにケアすることの意義
山口 鶴子山路 義生丸井 英二
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2013 年 59 巻 6 号 p. 474-479

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抄録
目的:高齢者終末期の定義に関しては,2001年の日本老年医学会の「高齢者の終末期の医療およびケア」に関する「立場表明」の定義以上に具体的なものはなく,終末期の診断は現場の医師に委ねられている.しかし,実際には診断に困難を感じるという医師が少なくない.この現状は,一般社会の看取りに関する認識の広がりや,現場での多職種間の連携を阻む要因ともなっている.本研究は,在宅医療で看取りを行っている医師へインタビュー調査を行い,実践的な終末期の診断のモデルを得ることを目的とした.
方法:対象は,在宅医療で看取りをする診療所および病院医師で調査の協力が得られた12名である.全員男性で,年齢は40~80歳代(平均年齢:55歳).2011年7月から北海道から沖縄までそれぞれの医療施設に出向いて「終末期をどのように診断しているか」半構造化インタビュー調査を行った.モデルを得るための分析にはグラウンデッド・セオリー・アプローチを用い,モデルの記述にはステップコーディングによる質的データ分析手法を用いた.
結果:「終末期の診断の不可能性」,「終末期の判断」,「終末期の医師の立ち位置」,「納得の死」,「住み慣れた地域で最期まで看取るという文化」など15の概念が生成した.それらの概念の関係図から「終末期の診断はできないが,本人や家族,専門医,在宅医の判断の総和として終末期の判断をしている」という四者判断モデルが得られた.
 結論:本研究で得られたモデルは,終末期の判断は,終末期医療の意思決定のためだけでなく終末期の生活を支援する始点であるとするものである.このモデルは,在宅だけでなく高齢者入所施設など地域で多職種が連携してかかわる高齢者の医療・介護の現場で役立つと考える.
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