パーキンソン病(PD)患者への音楽療法には音楽を聴く受動的療法と、歌ったり、楽器を演奏する能動的療法とがある。これらはリラックスや精神活動の活性化を目的とし、能動的療法の場合はリズム刺激を活用したリハビリテーションの手段ともなって運動機能を改善する1-3)。しかし、随伴する生理、生化学的変化に関する報告は乏しい4)。唾液はストレスや交感神経の興奮により分泌量が減少、アミラーゼ活性が高まり5-7)、pHが低下する。われわれは、生化学的評価が比較的容易、かつストレスの影響を受けやすい唾液に注目し、音楽療法がPD患者の唾液の性状にどのような変化をもたらすかを調査した。