哺乳動物卵子学会誌
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マウス1-細胞期胚の体外発生におよぼすグルコースの影響
澤井 健林 正黙奥田 潔丹羽 晧二
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1994 年 11 巻 1 号 p. 8-16

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抄録
C57BL/6J系マウス1-細胞期胚をCZB培地を用いて体外培養した結果, 胚はそれぞれ24, 36および48時間後に, 2-(86%), 4-~7-(59%) および≧8-(54%) 細胞期に到達したが, さらに培養を継続しても桑実期以降への発生は困難であった。培養開始後24または36時間で胚をグルコース (5.55mM) 添加CZB培地に移した場合, 培養開始後96時間の胚盤胞形成率 (71-75%) は, 培養開始時 (43%) あるいは培養開始後48時間 (26%) からグルコースの存在下で培養された胚と比較して、有意 (P<0.05) に高かった。グルコースの存在下で培養する時期を培養開始後36 (4-細胞期) から48 (8-細胞期) 時間までの12時間に限定することによって, 64%の胚は胚盤胞まで発生したが, この時期以外にさらに培養開始後24から36時間までの12時間および48から96時間までの48時間のいずれか一方または両者の期間グルコースの存在下で培養しても胚盤胞形成率 (67-75%) は抑制も促進もされなかった。以上の結果から、CZB培地においてC57BL/6J系1-細胞期胚の胚盤胞への発生を維持するためには4-~8-細胞期の段階でグルコースを添加する必要のあることが示唆された。
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© 日本哺乳動物卵子学会
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