抄録
降水効率(PE)はある気象条件において潜在的に可能な最大降水量を評価するために有用な概念である。PEは気象学における様々な状況で利用される:例えば、単一の対流現象における激しい降水を評価するため、また積雲対流パラメタリゼーションにおけるパラメータとして、あるいは気候予測研究における雲と降水粒子の配分の決定のため等に利用されている。PEはいくつかの方法で定義されてきた。このレビューでは、初めに微視的および巨視的観点からPEの定義を示し、観測および数値モデリング手法に基づくPEの推定値を提示する。次に、浅い雲や組織化された深い対流システムにおける雲微物理とPEに関する観測とモデリング研究をレビューすることを通じて、モデルにおける対流の表現法に関わる物理的制約や概念的フレームワークを議論する。特に、気候変動に対する雲放射フィードバックにおけるPEの役割に焦点を当てる。最後に、気候予測研究における雲と降水の変化を論じるためのPEの有用性について議論する。