日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
胸部大動脈ステントグラフト内挿術後大動脈瘤感染に対し有茎広背筋弁を充填し救命し得た1 手術例
菊地 浩輔溝口 裕規白川 岳淺田 裕司由谷 親夫吉龍 正雄
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2016 年 25 巻 p. 133-138

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抄録
要旨:TEVAR(thoracic endovascular aneurysm repair)後大動脈瘤感染の頻度は少ないが,極めて予後不良である.今回,上行大動脈人工血管置換,頸部分枝バイパス術+ 2 期的TEVAR 後に発症した,グラフト留置部大動脈瘤感染に対し,ステントグラフトを除去することなく,大動脈瘤壁除去+ 有茎広背筋弁充填術を施行し,救命し得た1 手術例を経験したので報告する.症例は62 歳男性.高度肥満,維持透析施行中.上行大動脈人工血管置換,頸部分枝バイパス術+ 2 期的TEVAR 後,発熱,呼吸困難にて入院となった.精査の結果,縦隔炎とグラフト留置部大動脈瘤感染を認めた.グラフト留置部大動脈瘤感染に対して,感染瘤壁切除洗浄ドレナージ+ 有茎広背筋弁充填を行った.術後,全身状態も改善し,現在は良好なADL を保っている.また,術後5 カ月経過した現在も明らかな感染の再燃は認めていない.
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