気象集誌. 第2輯
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京コンピュータを用いた豪雨の広域・超高解像度実験:Part 2 2014年8月の広島豪雨事例と対流コアのモデルの解像度依存性
大泉 伝斉藤 和雄Le DUC伊藤 純至
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2020 年 98 巻 6 号 p. 1163-1182

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抄録

 数値気象予測モデルの要素が豪雨のシミュレーションに与える影響を調べるため、広い領域を対象とした超高解像度実験を2014年8月の広島の豪雨事例で行った。本研究はPart 1 の2013年10月伊豆大島での研究に続くものであり同様の実験を行った。これらの研究から豪雨のシミュレーションにおいて広い領域で高解像度モデル(解像度500m以下)を用いる有用性を示した。

 広島の事例では降水帯の位置や強度はモデルの解像度に影響を受けることがわかった。解像度2kmの実験では降水帯は再現されたがその位置は北東にずれていた。解像度500mと250mの実験ではこの降水帯の位置ずれは軽減された。最も降水帯の位置と強度をよく再現したのは解像度250mの実験であった。降水帯に対する境界層スキームの影響は小さく、この点は伊豆大島の事例と異なっていた。

 本研究では対流コア数のモデル解像度依存性についても調査した。モデルの解像度に対する対流コア数の変化率は解像度500mで小さくなる事がわかった。この結果は、対流コア数は解像度500mより高解像度になると収束する可能性を示す。

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© The Author(s) 2020. This is an open access article published by the Meteorological Society of Japan under a Creative Commons Attribution 4.0 International (CC BY 4.0) license.
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
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