気象集誌. 第2輯
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大気の乱流拡散現象について(第2報)
井上 榮一
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1951 年 29 巻 7 号 p. 246-253

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抄録
前報に求めたIagrange相関係数R(ξ)=1-(ξ/τ0)を使つて,大気中の乱流拡散の種々な場合について論じた.水平拡散の場合には,極めて大きな乱子迄も存在するため,観測は殆んど常に最大乱子の壽命時間よりも短い時間に限られ,第1種拡散領域が問題となる。この場合のτ0は観測によつて切断される有効最大乱子の壽命時間であり,観測時間と共に増加する.そのため長い時間続く拡散現象ほど拡散角度(√υ2に比例する)が増し,それと同時に拡散領域は遠方まで直線的にひろがり拡散係数は観測時間の2乘或はスケールの4/3乘に比例することになる.
垂直拡散では,垂直面内の最大乱子の大きさが夫々高度の数分の1程度であるため,比較的短かい時間で第II種拡散領域が実現される.二つの領域の遷移点の位置は,最大乱子の大きさと関係するから,実驗的に遷移点を測定することによつて垂直的な最大乱子の大きさ(混合巨離)と高さとの関係を求めることが出来る.
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© 社団法人 日本気象学会
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