抄録
降雨は上昇速度があり飽和している場合に起る。今上昇速度は,
(1) 地形によつて生ずるもの,
(2) 所謂地衡風近似による力学的なもの,
(3) 前線まさつによつて生ずるもの,
(4)対流不安定にともなうもの,
とに分類できる。
ここでは対流不安定にともなうものを求める時に,気柱の転倒理論を用いて最強雨量強度を求める実用的な方法を導いた。
これらの分類によつて2つの大雨を解析した結果,或る時期には対流不安定の寄与が圧倒的に大きく,その大雨の大半を占めるが,或る時期にはその他の原因による量の寄与が相対的に多くなつていることが判つた。また地形や不連続線はその雨量への寄与よりはむしろ対流不安定に対する衝撃的作用に大切な役割りを果していることも判つた。