気象集誌. 第2輯
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2次元および3次元の円型微分方程式を数値的に解く逐次法の計算速度についてのテスト
都田 菊郎
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1960 年 38 巻 2 号 p. 107-124

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抄録
楕円型微分方程式を数値的に解くために,色々の逐次法の収束速度をテストした.方程式は2次および3次元のボアツソン(Poisson)およびヘルムホルツ(Helmholtz)方程式で,第1種,第2種の境界条件の場合を取扱つた.取りあげた逐次法は3種の加速リープマン(Accelerated Liebmann)(AL),残差多頃式法(Residual Polynomial Generation)(RPG)およびADI法(Alternating Direction Implicit)(Peaceman-Rachford)である。第一に,AL法における過綬和係数(Overrelaxation coefficient)について,又, ADI法における逐次パラメーター(Iteration parameter)について',その最適値の理論的考案を行つた。次に,4種の実際例をとりあげ,電子計算機IBM 704を用いて,上の諸方法を種この点から検討した。その結果,次のことを結論した.スピードはADI法が一番早いこと,しかし,この方法は取扱いが幾分複雑で,収束不安定なことがある.RPG法は非常に遅いが,一船に遅い方法を加速するのに有効なことがある.例えば,松野はヘルムホルツ方程式で係数の負の場合(これはAL法,ADI法では解不能である)をリチヤードソン方式で解いたが,このときRPG法を加味すると解の収束を早くすることができる.AL法は方式が最も簡単で,記憶容量も少くてすみ,しかも,適当な過綬和係数を採用すれば,かなりの計算速度を得ることができる.
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© 社団法人 日本気象学会
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