気象集誌. 第2輯
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一次元線型方程式の時間数値積分の方法とその相続誤差
都田 菊郎
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1960 年 38 巻 6 号 p. 259-287

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抄録

一次元線型の偏微分方程式を数値的に解く方法について,解の精度,安定性および相続誤差を検討した。第1に時間外挿法について議論し,3点法および4点法の一種が満足のゆく結果を与えることを結論した。
第2に空間微分を差分で近似する方法について,3点法および5点法について調べた。この場合取扱う方程式は移流方程式で,特に流速は空間の函数である。すなわち方程式は2ケの空間函数の積を含み,その結果,解としてはその相互作用として新しい波を生ずる。このような方程式を,従来一般に用いられている時間,空間についての「3-3点法」で数値的に解くときは,新しく発生する波に誤差が多く,それが解のパターンに虚偽の小さな波を与える。一方「3-5点法」では安定で極めて精度の高い解が得られること,特に,虚偽の小さい波の発生が著しく少いことが判つた。また各方法による誤差の発生を推定するための目安になる量を提案する。これは微分方程式と差分方程式の差をTayler展開して得るもので,取扱う量が空間的に変動が大きい程,誤差が多くなることを量的に表現したものである。最後に以上に得た方法および情報をもとにして,任意のパターンの500時間予報を試みた結果を示す。

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© 社団法人 日本気象学会
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