気象集誌. 第2輯
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大気運動に関する数値解析
栗原 宜夫
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1960 年 38 巻 6 号 p. 288-304

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抄録

∇運動方程式に関して,基礎的定量的な資料を得るために,IGY 期間中に行われた6時間間隔の高層観測の結果を用いて,方程式の各項の大きさを見積つた。
コリオリ力と気圧傾度に関する項はもちろん方程式中の主要項である。この解析においては,実測風は一般に地衡風よりも弱かつた。慣性項 (-V・∇V) も方程式中で重要な項で,東西成分の大きさと南北成分の大きさは 400mb以下では同じである。-ω∂V/∂p の大きさはやや小さい。また -ω∂u/∂∂p の10日平均値は,東西方向の運動量が北日本では平均として下向きに輸送されていることを示している。いわゆる計量 (metric) 加速度は非常に小さいが,南北成分の運動方程式を時間平均する場合には慎重にとり扱わねばならない。摩擦の項は他の項の残差として求めたが明確な結論は得られなかつた。

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