気象集誌. 第2輯
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アルプスの氷河および朝鮮の降水の変動と太陽黒点との関係
山本 武夫
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1961 年 39 巻 5 号 p. 269-281

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抄録
太陽黒点活動度と気候変動との関係を,朝鮮Seoulの初夏の降水量と,アルプスSavoie氷河の長期変動を中心にしらべた。(Fig.1参照)
5月のSeoulの降水量と,5月の[潮岬・輪島]の200mb高度差との相関係数はR=-0.72(1953年~1959年n=7)であるから,Fig.1に見られるSeoulの初夏の雨量と太陽黒点数の長期変動の関係は,太陽活動度の大(又は小)が各々,大循環における子午線方向(又は緯度方向)の循環の卓越に対応するという一般的関係を与えることにある。
近東における5月の300mb高度の傾度[Cairo(30°08,N 31°34E)-Nicosia(30°09,N 33°17E)-Ankara(39°59,N 32°53E)]とアルプス付近の上層気温の関係は,Fig.5に示すように700mb高度の気温については負,200mb高度の気温については正である.この関係とFig.3に見られるような山岳観測所・Obir(46°30,N 14°29,E 2044m )やSonnblick(47°03,N 12°57,E3106m)の5月気温と太陽黒点数の長期変動の関係から,太陽現象と気候について,上述と同じ結論が得られる。
Fig.1に見られる太陽黒点数とアルプス氷河の長期変動の関係は,最近の30年~40年を除く,過去300年の長期にわたり,太陽活動の大(小)が各々,氷河の進出(縮退)に対応するというSimpson説の関係を示す。このようなアルプス氷河の消長はFig.8において1700年,1750年,1850年付近に見られるように,高緯度氷河とは逆の傾向の変動をしている。のような種々の事実から筆者は太陽活動度と中緯度氷河の活動の関係についてSimpson説と対比しつつ次のような新仮説を提出したい。
以上述べたような一般的関係はヨーロツパや極東の種々の気候要素について,最近の太陽黒点数の異常な増大とともに逆転している傾向が見られる。(Fig.3,Fig.4,Fig.7参照)最近における中緯度高緯度を通じての氷河の著しい縮退傾向もこれらと関連する現象と考えられる。
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