気象集誌. 第2輯
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赤道近くでの準地衡風的運動
松野 太郎
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1966 年 44 巻 1 号 p. 25-43

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抄録

コリオリの力が働かなくなる赤道近辺での大規模運動の特性を理論的に検討してみた。自由表面をもった単層の流体-いわゆる発散順圧モデル-について線型化された運動方程式を扱い東西方向に動く自由波動の解を求めると,一定のスケールに対して3つの解が得られた。これらは振動数解の形(圧力及び運動の場)から夫々東向きおよび西向きの慣性重力波およびロスビー波であることがわかる.但し南北スケール最小のものに関してはその区別は明瞭でなく一方の型から他方の型に連続的にかわる。ロスビー波に相当する解は風と圧力の関係が高緯度でほぼ地衡風的であるごと,および赤道近くで特異なふるまいをするのが特徴である。
次に同じモデル熱冷源に相当するものとして東西に周期的なmass source,sinkを与え,定常解と求めた。熱源に相当する所は低圧になるが赤道で分断され,赤道のごく近くはやや逆センスになり,これに伴って高緯度と逆向きの強い流れが生ずることが分った。

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