気象集誌. 第2輯
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寒冷渦中心付近に観測される中規模擾乱の3次元的構造に関する総観的•力学的解析
松本 誠一二宮 洸三秋山 孝子
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1967 年 45 巻 1 号 p. 64-82

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抄録
1965年1月16日,日本列島を通過した規模の小さい寒冷渦の西側に,一群の顕著な中規模擾乱が観測された。寒気は鋭い逆転層で境され,その逆転層の西側の斜面に中規模の凹凸が重っていた。現業高層観測網の1/5程度の面積をおおう特別観測網により特徴的な風の場即ち下層における収束と低気圧性渦度,上層における発散と高気圧性渦度という中規模の対流系が見出された。これに対応して気圧場にも低層の低気圧高層の高気圧が解析される。
地上気圧場には,周期2~3時間で時速85kmで東進する一連の擾乱があり,降水と密接に関連していた。この擾乱を抽出するために2•5時間移動平均よりの偏差値をとり,気圧および風の偏差場に対して詳細な量的解析を試みた。擾乱の規模は250×108m2程度のものであった。気圧負偏差域に1/4波長おくれて収束域が続き,その南に正渦度北に負渦度を伴っている。従って渦度方程式における主要な均合いは,渦度変化と起上り項の間に樹立されている。一方発散方程式の均合いは,前の論文で示した通り第1近似としては発散変化と気圧場との間で成立っている。然しながら,収束域において大きな不一致が認められる。この事実は,その領域内における積雲対流の効果を考えることによって都合よく説明される。
なお,本研究は気象研究所北陸豪雪の研究の一部として行なわれたものである。
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© 社団法人 日本気象学会
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