気象集誌. 第2輯
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赤道成層圏下部の大規模擾乱
丸山 健人
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1967 年 45 巻 5 号 p. 391-408

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抄録

1958年の春から夏にかけてマーシャル群島付近でおこなわれた特別観測のデータをもちいて,最近柳井,丸山(1966)によりみいだされた赤道成層圏下部の西風の中を西進する大規模な波動擾乱をくわしくしらべた。上層の風の垂直時間断面図をみると高さ18-24km付近の風向が南西と北西のあいだを4-5日周期で振動していることがわかる。シノプティック解析により西風にさからって2,000km/dayくらいの速さで西進する大規模な波動擾乱の存在することがわかる。波長は10,000kmにおよぶものとおもわれる。位相線は高さがますとともに西にかたむいている。風の南北成分のパワースペクトル解析によりこの振動が成層圏下部の赤道にごく近いところで卓越することがわかる。基本流をかんたんな手法でのぞくことにより擾乱が赤道に中心をもつエディーをなしていることがわかる。1958年4月にみられた顕著なエディーについて擾乱の三次元構造をとくにしらべてみた。擾乱の西進はβ効果によるものとおもわれる。擾乱の位相速度および風と気圧の関係をRosenthal(1965)および松野(1966)により論ぜられた順圧発散赤道波の理論からえられるものと比較してみた。

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