抄録
流体の中間層が定常的かつ水平方向に一様に加熱され,上部に不安定層,下部に安定層が存在している状態で,加熱量がある値を越えると周期的な対流が生じる.この数値実験では,周期的対流に寄与する原因は何であるかを調べるため,二次元運動の温度場,速度場を水平方向に無限フーリエ級数に展開し,有限個の波数からなる三つの異った系を用いて,外部パラメタとして与えられるレーリー数と基本波数のいろいろな組合せについて,解を求めた.但し,この場合,同じく外部パラメタであるプラントル数および不安定層と安定層との厚さの比は一定とした.用いられた系のうち,ちがった波数間の相互作用がゆるされるような系において周期解が得られ,しかもそれは臨界レーリー数よりかなり大きな値の,比較的狭いレーリー数の範囲であった.得られた周期的対流の形は,二つのプリュームと一つのプリュームが交互に生じては消えるという過程をとる
周期解と定常解の顕著な違いの一つは,周期解が同じ程度の大きさをもつ各波数成分から成立つているのに対し,定常解は,1つの卓越した波数成分のみで出来ていることである.又,上方への垂直熱輸送量はレーリー数が増すにつれて段々多くなるが,周期解のあらわれる範囲でその値が急に減少する.