気象集誌. 第2輯
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超長波の統計的研究
荒井 康
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1970 年 48 巻 6 号 p. 469-478

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抄録

20数年間の半旬平均500-mb高度,25日平均高度,両者の差(トランジェント),偏差,時間差の各高度場を,70°Nから30°Nまでの各緯度毎に調和分析し,波数1から4までの超長波の統計的特性を解析した.その結果,70°Nと60°Nの波数1と2のトランジェント波が,平均的に西進する事実を見出した.この西進の割合は全例の70~80%でその平均の西向の位相速度は5日間に約4分の1波長である.すなわち波数1のトランジェント波は1日に経度約20°,波数2は約10°で平均的に西進する.この事実は低緯度では顕著でないが,こは主として振巾の小さいためである.
これに反して波数3のトランジェント波は,西進および東進の割合はほぼ同じで,どちらかにより多く移動するということはない.また70°Nと60°Nの波数4のトランジェント波は平均的に東進し,その平均位相速度は1日に経度約6°である.低緯度の波数4の波は夏期には西進する傾向がある.
波数1ないし3のトランジェント波の振巾は,一般に冬に大きく夏に小さいが,波数4の波の振巾は顕著季節変化を示さない.また波数1,2のトランジェント波の位相速度には,四季の差がはっきりとは認められない.

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