気象集誌. 第2輯
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梅雨前線とこれに付随する下層大気中の中間規模擾乱の構造
松本 誠一吉住 禎夫竹内 衛夫
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1970 年 48 巻 6 号 p. 479-491

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抄録

1968年7月8日から7月12日に至る4日間の特別観測期間中,極東には定常な梅雨前線が卓越していた.したがって各種気象要素の平均場を求めてみると,顕著なつかの特長が明らかとなった.とくに著しい構造は温度成層には見られないで,むしろ下部対流圏の風の場に現われている.非均合いの状態にある下層ジェット気流が存在すること
は,降水としたがっておそらく対流活動と深く関係しているものと思われる.
強い傾圧場が集中した地帯に沿って,波長が1000km以下の下部対流圏擾乱が発生して,次々に東北東に移動し,約20時間の間隔で大量の降水を周期的にもたらした.これに関連する温度場をみると間接循環の存在が示されているが,それにも拘らず擾乱は発達している.
3つの規模を異にする運動すなわち総観規模•中間規模(前線性擾乱)および小規模(対流)の間のエネルギー変換過程を調べた.中間規模の運動エネルギーは対流運動エネルギーから変換さるべきことが示唆される.

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