気象集誌. 第2輯
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AMTEX'74期間における東シナ海域の気団変質
二宮 洸三
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1975 年 53 巻 5 号 p. 285-303

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抄録
AMTEX'74期間の東シナ海域の気団変質の様相を大規模場の総観•収支解析にもとずいて記述する.日本海などの高緯度の海域とは異なり,30~25Nに位置する東シナ海域の状況は複雑で,極気団•亜熱帯気団の交代によって大巾に変化する.
温暖な南風に特徴づけられる暖気侵入の期間では,海水温一気温差,温度傾度および温度移流は極めて少い.逆転層の発達は東シナ海南部にみられ,降水量も少い.海面からのエネルギー補給はわずか200ly/dayであり,その影響は最下層にあらわれるにすぎない.それは主としてゆるやかな気温•水蒸気の増加に寄与する.
一方,寒気吹出時には,海水温一気温差,下層の気温•水蒸気の傾度,移流は非常に大きい.この期間逆転層は東シナ海の北•中部で著しく発達しているが,南部海域では弱まっており,そこではかなりの対流性の降水量が観測される.海面からのエネルギー補給はきわめて大きいが(最大1500ly/day).その非断熱的影響はあまり上層におよぼない.非常に大きな下層の寒気移流の大部分は熱補給とキャンセルし合い,気温下降(∂T/∂t)のは寒気移流の20%程度にすぎない.
逆転層の時間的変動との関係において,それを含む気層の鉛直安定度の時間的変動の解析を行った.観測される∂/∂t(∂T/∂p)は∂/∂p[-ν•∇T-ω(∂T/∂p-R/CpT/p)]とよい対応をみせる.とくに補給量の少い温暖な期間についてその対応がよい.一般的に,differential advectionの効果が大きい.補給量の大きい寒波吹出期には∂/∂p(δT/δt)(つまり,differential diabatic heating)も大きく,differential advectionのかなりの部分を打消している.
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© 社団法人 日本気象学会
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