気象集誌. 第2輯
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最適内挿法を用いて求めた最近100年間の北半球平均地上気温の推移
山元 龍三郎山元 龍三郎
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1980 年 58 巻 3 号 p. 187-193

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抄録

°地上気温の北半球観測網データを解析して,最近100年間の北半球平均気温の推移を求めた過去のいくつかの研究結果では,1880年代からの温暖化と1940年代からの冷却化という傾向は一致しているが,若干の定量的不一致が認められる。また,過去の研究では,それらの算定結果の信頼度が示されていないので,北半球平均気温の変化が,真に
発現したのかどうかを確認するのが困難である。
この研究では,25°S以北の367ヶ所の季節平均地上気温の北半球観測網に最適内挿法を適用して,緯度10°,経度30°(80°Nでは経度45°)毎の格子点での気温偏差値とその誤差を求めた。これらの値を用いて,北半球平均気温偏差とその算定誤差を,最近100年間について計算した。1880年代の極小と1940年頃の極大というおおよその傾向は,過去の研究と一致するが,この研究で得た極小値と極大値との差は,過去の研究結果に比べると著しく小さい。この不一致について,若干の考察を行なった。

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