気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
58 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 高橋 正明, 瓜生 道也
    1980 年 58 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    南北に伝播するプラネタリー波に伴って,‘鉛直’臨界層近傍につくられるオイラー及びラグランジュ平均運動をβ平面上のwave guideを使ったモデルで議論する。
    オイラー平均子午面内流線関数はδ-関数形のReynolds stressの発散によって誘導されることが臨界層問題についての流体力学の結果(例;Lin,1967)から導かれる。
    オイラー平均流は臨界面を中心にして(ロスビーの変形半径)/2π程度の広がりを持っている。平均帯状流加速については2つの部分からなり;1つは臨界層内にある東風加速で,これは子午面循環とは関係ない。もう1つは波によって誘導された平均子午面循環に働くコリオリ力による加速であって,中層で東風加速,上•下層で西風加速になっている。鉛直運動は臨界面をはさんで不連続であり,上層の南側(北側)は上昇流(下降流),又下層は上層と逆向きの4つのsector構造になっている。
    最後にラグランジュ平均流はオイラー平均流と同じである事が示される。
  • 山形 俊男
    1980 年 58 巻 3 号 p. 160-171
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    チャネル•ベータ面上の二層流体中に存在する惑星波の安定性を議論する。傾圧波の最低次のモードは三波共鳴不安定を常に起こすが,順圧波の最低次のモードは東西波数がある臨界値以下の場合には安定である。この場合に順圧波の変調を支配する発展方程式を導出し,厳密解の一つである平面波解の安定性を論じる。臨界状態では主波の群速度と付随する長波(帯状流)の位相速度が等しく共鳴を起こしている。この共鳴現象を支配する発展方程式系も導出し,その平面波解の安定性を論じる。この長波共鳴現象は比較的強い帯状流を駆動する機構の一つとして,又惑星孤立波を生む一因として重要であることを示唆する。
  • 二宮 洗三, 巽 保夫
    1980 年 58 巻 3 号 p. 172-186
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    6層77km(at30N)格子プリミテブモデルによる予報実験によって大雨をともなう梅雨前線の構造を調べた。まずコアス•メッシュ(~380km,150km)モデルに使用されてきた湿潤対流調節方式がこのモデルで適当かどうかを調べたが,それが前線の2~300km南に大きな降水をもたらす傾向をもつことがわかった。この欠点を改良するため対流調節を下層の渦度でコントロールし,クリテカルラブスレートをゆるめることにした。
    この改良された湿潤対流調節を含むモデルで典型的な梅雨前線2例(1975年6月21口および25日)のf報実験を行い,その結果を詳しく解析した。実験で得られた前線帯と大雨の特徴は観測された特徴(集中した降水,亜熱帯ジェットの南に位置する大雨ゾーン,その南に位置する下層の強風域,湿舌,中層の対流昇温ゾーン,北に傾く低気圧の垂直構造,非断熱熱源の垂直分布など)によく一致しており,梅雨前線と大雨がかなり正確にシュミレートされたことがわかった。
  • 山元 龍三郎, 山元 龍三郎
    1980 年 58 巻 3 号 p. 187-193
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    °地上気温の北半球観測網データを解析して,最近100年間の北半球平均気温の推移を求めた過去のいくつかの研究結果では,1880年代からの温暖化と1940年代からの冷却化という傾向は一致しているが,若干の定量的不一致が認められる。また,過去の研究では,それらの算定結果の信頼度が示されていないので,北半球平均気温の変化が,真に
    発現したのかどうかを確認するのが困難である。
    この研究では,25°S以北の367ヶ所の季節平均地上気温の北半球観測網に最適内挿法を適用して,緯度10°,経度30°(80°Nでは経度45°)毎の格子点での気温偏差値とその誤差を求めた。これらの値を用いて,北半球平均気温偏差とその算定誤差を,最近100年間について計算した。1880年代の極小と1940年頃の極大というおおよその傾向は,過去の研究と一致するが,この研究で得た極小値と極大値との差は,過去の研究結果に比べると著しく小さい。この不一致について,若干の考察を行なった。
  • 林 正康
    1980 年 58 巻 3 号 p. 194-202
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    モノスタチック音響探査装置のファクシミル記録から,大気境界層の鉛直構造を調べる。反響音の強度の時間高度分布は,気象条件により異なる。層状エコーは大気の安定成層(逆転層)に起因する。層状エコーの厚さを,係留ゾンデや低層ゾンデで観測した接地逆転層の高さと比較した。上層逆転層の上端と下端の高さについても同様の比較をおこなった。両観測法の一致は良い。ファクシミル記録の強弱は,記録計の出力の設定に依存しているが,エコーの出現と気温の鉛直勾配の関係を調べた。安定成層は層状エコーに対応し,超断熱減率又は不安定成層では,雑草型のエコーが現われる。温度勾配が乾燥断熱減率と等温度の中問では,エコーは弱く,記録出来ない。大気の成層状態と関連させたファクシミル記録の分類を試みた。記録は鉛直型(雑草型),無記録あるいは,水平型(層状)の種類の基本型に大別される。
  • Generating cellsからの降水粒子の混合過程
    藤吉 康志, 高杉 年且, 後町 幸雄, 武田 喬男
    1980 年 58 巻 3 号 p. 203-216
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    中層降水雲の観測を,垂直レーダ,電場計,雨滴粒度•電荷測定装置を使用して行ない,雨滴の電気的特性が雲の微細構造及び雲内の微物理過程の変化と共に,どのように変化するかを調べた。
    主な結果は次の通りである。generating cellの多くが活発な状態にあり,-10°C高度から0°C高度にかけてエコー強度が大きく増加するような降水雲系からは,正に帯電した雨滴が卓越して降り,帯電量の平均値も極めて大きかった。観測した降水雲系全体として,雨滴1個当りの正の電荷と負の電荷とは,ほぼ同位相で,その大きさは変化し,帯電量も互いにほぼ等しかった。然し,正又は負に帯電した雨滴の数フラックスは,帯電量の変化とは必ずしも同位相ではなかった。雨滴の最大直径の時間変化と雨滴の帯電量の大きさとは,比較的良い相関が見られた。
    これらの主な観測結果は,活発なgenerating cellから降る正に帯電した粒子が,衰弱したgenerating ce11かう降る負に帯電した粒子と,落下中に高度より上で混合し,これらの降水粒子が併合過程により成長すると共に,摩察過程によって再帯電したと考えることにより説明される。
  • C.D. Stow
    1980 年 58 巻 3 号 p. 217-244
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • 安成 哲三
    1980 年 58 巻 3 号 p. 225-229
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    7年間(1966-1972)にわたる雲量データの解析により,インド周辺のモンスーンの変動には,Yasunari(1979)の1973年についての結果と同様に,30~40日周期がほぼ毎年卓越して現われ,その位相の動きは,インド洋上を北上する様相であることが示された。この周期性は,モンスーンが非常に弱かった1972年にのみ現われていない。
feedback
Top